松浦弥太郎さんの「しごとのきほん くらしのきほん 100」をデザイン目線で書評する。

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松浦弥太郎さんの新刊を読みました。
 
私が彼を知ったのはほんの2年ほど前。入院中にamazonでせっせと本を購入しては院内のローソンで受け取っていたのを見かねて、会社の先輩が自身のオススメ本を送ってくれたのがキッカケです。
 
当時は、なんなんだろう、この空気感は…という印象だけが残り、そのあと何度も書店でお見かけする機会がありました。
 
今回の本は「100の基本」の続編で、やっぱりとてもやさしいおだやかな空気感を感じる本でした。
文章を読んでいるだけなのに、これを綴っている弥太郎さんの呼吸や静かな書斎の音まで聞こえてくるような、そんな本です。
 
おすすめ。
 
で、終わるのもなんなので、この美しい本のデザインについて少し話そうかな。
 
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まず、表紙の色。この絶妙な水色は私が最も好きな色で、自分でデザインするときもよく使う、水色です。
 
プロっぽくいうと、シアン70%・イエロー30%…20かも?それだけでも美しくてポイント高いのに、このカバーの紙の手触りがすばらしい。
 
紙名を忘れてしまいましたが、普段書籍で用いられるような紙ではないのは確かです。
 
弥太郎さんというと、イメージ的にもっとほっこりシンプルな紙を選びがちだけど、あえてこのゴージャスな凹凸のある紙を選ばれたのはセンスがいい!し、勇気があるなあ!と感じました。
 
そして、オモテ面は水色なのに、背と裏表紙はほとんど白に近い極々薄い水色。私はここに一番感動しました。ここ1年ほどの中でも一番感動したといってもいいくらい。
 
本って読んだあとは立てておいておくではないですか。その際に派手な水色が目に入ると、どうしても書棚の風景を乱してしまう。
 
しかし、書店で販売されるときは面でおいたときに目立つ強いデザインでなければならない。
その両者の苦しい大人の事情を上手に解決している配色なのです。すばらしい。
 
そしてカバーが水色で表紙は黄色なのも意外で、わっとなりました。紙のエンボスも含めてぜひ書店で手に取っていただきたい。
 
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中身はこんな……文字色がほぼ黒に近い焦茶色。
このサイズ感もいいですよね。文章量が多いわけではなく、これの半分のサイズでもぜんぜん収まるのにあえてこの縦長のフォーマット。
 
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さらに、ノンブル(ページ番号)の位置が上にある書籍はなかなかありません。教科書はこんなんでしたね。
 
本文の紙は少し生成りで目にやさしく、薄いけれど手触りがよくて読みやすい。
ACTASやBEAMSから出されているインテリアの本もですが、本の厚みって所有欲をそそられるんですが、その割に持ってみると軽いというのが最近の流行りなのかもしれません。(書籍のデザイナーではないので詳しくないのですすみません…)
 
 
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今日はこのページが特に印象に残りました。
きっと読み返すたびに違う言葉がフックになるような、そんな本になるだろうなあと思います。
 
そんなわけで。
紙系デザイナーはこのような片寄った見方で本を見ていたりもします、というお話でした。
書店で見かけたときに、ほうほうこの事か…と思い出してもらえればうれしいです。
 
しかしせっかくオープンした枚方T-SITEのことを書こうと思ったのに蔦屋書店の弥太郎さんの本で感動を全て持っていかれてしまいました。
 
また今度〜
 

しごとのきほん くらしのきほん 100 ー 松浦 弥太郎