感情に訴えるとても繊細な「茨木のり子」さんの詩の世界

倚りかからず (ちくま文庫)

とても素敵な詩人に出会ったので、忘備録程度に。響く方にはとても響くのでは。はじめて彼女の詩に触れたのは、Twitterでした。「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ」ずっとその言葉が残っていて、昨日、ネットで調べ物をしていたら違う詩にまた出会って、今日はまた別の本棚で見つけました。本当に、私と感覚が近いなあと思う詩人。一遍だけご紹介しますね。

 

苦しみの日々 哀しみの日々

 

苦しみの日々

哀しみの日々

それはひとを少しは深くするだろう

わずか五ミリぐらいではあろうけれど

 

さなかには心臓も凍結

息をするのさえ難しいほどだが

なんとか通り抜けたとき 初めて気付く

あれはみずからを養うに足る時間であったと

 

少しずつ 少しずつ深くなってゆけば

やがては解るようになるだろう

人の痛みも 柘榴(ざくろ)のような傷口も

わかったとてどうなるものでもないけれど

 

(わからないよりはいいだろう)

 

苦しみに負けて

哀しみにひしがれて

とげとげのサボテンと化してしまうのは

ごめんである

 

受けとめるしかない

折々の小さな刺や 病でさえも

はしゃぎや 浮かれのなかには

自己省察の要素は皆無なのだから

 

茨木のり子 (いばらぎのりこ)

1926年大阪生まれ。詩人。